凶 待ち人来ず
自転車メーカーのサイトをかじりつくように眺めるのが日課だった
思いっきり遠くに漕ぎ出す想像をしながら、死んだように寝ていた
ブラックから解放されても 乗りてえな という気持ちはあった
だから昨日サイクルショップを尋ねて、店員のおっちゃんと話した
いくつか質問を受け、俺の考えている用途を伝えると、
おっちゃんは店頭にある一台の自転車を勧めてきた
詳しい内容は後日紹介するとして、俺は即決した
サドルの高さや腕の長さを調べてもらう
「いろいろと調整があるから、明日には届けるよ」
俺はワクワクしながら帰った
そして今日…
来ねえじゃねえか
何時頃になるかを聞き忘れたのは痛恨だった
外出して入れ違いになるのもくだらないし、俺はワクワクソワソワしながら待ち続けた
来る前に電話はくれると言っていたが、結局午後になっても音沙汰なし
時間の流れが遅く、やたらと腹も減った
俺はけなげに待ち続け、連絡があったのは午後7時過ぎ
なんでも新学期の学生達の相手でやたら忙しかったそうだ
知らんがな
調整はもう少しかかるらしい
こんな顔で頼まれたら俺も承知するしかなかった